もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『ビジネス文書の応用言語学的研究』

今回読んだ本はこれ。『ビジネス文書の応用言語学的研究—クラウドソーシングを用いたビジネス日本語の多角的分析』という論文集です。

ビジネス文書を言語学の対象にしたらどうなるのかな、というのが気になって選びました。読んでみて、本書が取り上げる「ビジネス文書」はクラウドソーシングの発注文書 (=求人文書) だったので、期待していたのとはちょっと違ったのですが…。

 

本書の研究は、クラウドソーシング サービスを提供するクラウドワークス社の協力を得て作成した発注文書のデータベースが基になっています。そのデータを基に、発注文書での記号の使い方、副詞の使い方、オノマトペの使い方、発注者のキャラクター、発注文書に含まれる情報の量や質など、さまざまな観点からビジネス文書が分析されています。

 

興味深かったのは、その発注文書を見てワーカーの応募があったのかや、発注後のワーカーとのやり取りはスムーズだったのか、までが分析の対象となっており、発注文書の書き方次第で受注率に有意な差が出ているところです。

 

私はクラウドワークスは使っていませんが、本書の研究対象となっているビジネス文書 (= 発注文書) に類するものを、翻訳者向け掲示板の求人情報や翻訳会社からの打診メールで日常的に目にします。

そのような求人情報や打診メールには、「こんな仕事に誰が応募するんだ?」と思う内容のもの (情報が欠けていたり、発注者のキャラクターが信用ならなかったり…) が多々あるのですが、本書の研究から、案の定そういった求人には応募が少ない傾向があることがよく分かりました…。

 

受注率が低いことにお悩みの発注者の方におススメです…