もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

翻訳

誤訳されがち? Financial Transaction

ここしばらく、企業の財務管理に関する翻訳文書のレビューに携わっていたのですが、立て続けに financial transaction の訳がコンテキストに合っていない?と疑われる事例に遭遇していろいろと調べたのでちょっとまとめ。 financial transaction は「金融取…

翻訳祭 2023: ChatGPT 関連のセッション

翻訳祭 2023 のアーカイブ配信も今日で終わりですね。 今年もコンテンツが豊富で困ってしまいましたが、最終日になって見たいセッションはなんとか見終えた…というところです。 今年のセッションで特に目についたのが ChatGPT の話題。 生成AI の歴史、ChatG…

第32回翻訳祭 印象に残ったプログラム: 『翻訳学校って行った方がいいんですか?』

10 月末から始まった翻訳祭ですが、アーカイブの配信期間ももう折り返しですね。 公開されているアーカイブのうち、半分くらい見終えたところです。 その中でも印象に残ったのが、掲題の『翻訳学校って行った方がいいんですか?』。 翻訳学校といえば、翻訳…

ロシア人のお名前あれこれについて勉強会でお話します

告知です。 第10回目となる次回の勉強会は9/30(土)です!テーマは「翻訳・創作にいつか役立つかもしれない ロシア人名の話」になります。参加希望の方はリプライかDMでお申し込みください。#ゲーム翻訳勉強会LEVELUP pic.twitter.com/wOBcTJKr9k — ゲーム…

訳のアイデア: Fortunately、The good news is ~

英語のテックブログや技術ドキュメントなんかを訳していると、「Fortunately」 や「The good news is ~」という表現によく遭遇します。 これらの表現に対してよく使われる訳が「幸い」。 英辞郎や Linguee なんかで訳例を見ると大抵「幸い」と訳されている…

産業字幕翻訳を請けるときのチェックポイント

ここしばらくの間に産業字幕翻訳の仕事を何件か請けました。 今までも字幕翻訳を何度も受けたことがあり、通常よりも時間がかかることを織り込んで引き受けたはずなのに、スケジュールをの見積もりが随分誤っていたようで、キツかった…。普通のドキュメント…

直訳と意訳の認識のすり合わせ

翻訳の品質に関していろいろなリクエストを受けることがあります。 「直訳調の表現は避けてください」、「原文に即しつつ、分かりづらいところは意訳で」とか、「英文を読む参考にするので直訳で」とか。 で、直訳して納品したつもりが、クライアントに「そ…

訳のアイデア: own a relationship

先日の仕事で悩んだ表現なのでメモ。 ビジネスの文脈で Own a (customer) relationship と言ったら、顧客とざっくばらんに話せる関係、顧客に影響を与えることのできる関係、顧客のあらゆる段階に価値を提供する関係…など、相手とのかなり深い関係であること…

commercial は辞書どおりに訳すと大抵意味不明

産業翻訳では他のジャンルの翻訳と比べて commercial という単語が頻繁に登場しますが、この訳がなんとも難しいのです。 辞書を引くと、「商業の、商用の」「営利的な、民営の」「金目当ての」などという語義が書いてあります。辞書の最初に載っている「商業…

レトロニムと翻訳

レトロニム自体やレトロニムを持つ語の翻訳ってちょっとトリッキー? だなと思ったのでちょっとメモ。 レトロニムの意味は、Wikipedia によると以下のとおり。 「レトロニム」とは旧来からある「もの」や「概念」が、新たに誕生した同種の区別されるべきもの…

訳のアイデア:instrument

アイデアというか愚痴? IT 用語は新しい言葉が次々でてくるものの、カタカナにすればいいよねー、なんて言われたりもするんですが、カタカナにするとしても表現方法がいろいろあるので悩むこともしばしばです。 最近遭遇したのが instrument という動詞。こ…

読書:『翻訳通訳研究の新地平』

『Translation Quality Assessment: Past and Present』を読んでいる、という記事を先日書きました。そこで言ったように、日本語で書かれた翻訳学の本もぼちぼち読んでいます。 今回読んだ本はこちら。『翻訳通訳研究の新地平』。 翻訳通訳研究の新地平―映画…

読書中:『Translation Quality Assessment』

今読んでいるのは、『Translation Quality Assessment』という翻訳品質評価の本です。 Translation Quality Assessment: Past and Present (English Edition) 作者:House, Juliane Routledge Amazon 本書は、ドイツの言語学者、翻訳学者である著者 Juliane H…

読書:『アンケート調査とデータ解析の仕組みがよ~くわかる本』

今回読んだ本はこれ。 『アンケート調査とデータ解析の仕組みがよ~くわかる本』 図解入門ビジネスアンケート調査とデータ解析の仕組みがよ~くわかる本[第2版] (How‐nual Business Guide Book) 作者:光悦, 竹内,和範, 山口,恵子, 元治 秀和システム Amazon …

読書:『ベーシックコーパス言語学』

翻訳に関係するセミナーやニュースで、「コーパス」という言葉に遭遇することがよくあります。 「機械翻訳には対訳コーパスが~」とか、「コーパスを使って、使用頻度の高い表現を調べる」とか、「この辞書はコーパスを活用して編纂された」とか。 頻繁に耳…

翻訳者の繁忙期

確定申告の準備を進めています。 1 年の売り上げを見ていると、おおむね安定しているのですが、ときどき死にそうなくらい忙しかったことが思い出されます。今年こそは仕事を詰め込みすぎないぞ!とか、一時に仕事が集中しすぎないようにするぞ!といつも決意…

音声読み上げソフトを考慮した翻訳

先日、NHK の『サラメシ』を見ていたら、鳥居健人さんという全盲の方が登場していました (『サラメシ』、テレビで取り上げられることは基本的にはないであろう会社の仕事風景が見られるので、好きなのです)。 鳥居さんの仕事スタイルで驚いたのは、パソコン…

Kindle Unlimited で読める翻訳の仕事に役立つ書籍

今週金曜日はブラックフライデー。ということで、いろいろな場所でセールが始まりましたね。 ブラックフライデーセールに先駆けて、Kindle Unlimited にお安く登録できるキャンペーンをしています (過去に登録したことのあるユーザーなど、キャンペーン対象…

翻訳コメントを効率的かつ簡潔に書くための Tips

昨年「翻訳コメントの書き方」という記事を書いてからそろそろ 1 年が経ちます。ありがたいことに、こちらの記事は今でもときどきアクセスをいただいております。 今回はその続編として、前回書かなかったいくつかのトピックを書こうと思います~。 目次はこ…

服飾関連の動詞: merrow と sublimate

仕事中に手持ちの辞書にない言葉が出てきたのでメモ。 服飾系の専門辞書には載っているのかしら? Merrow: オーバーロック加工する、かがり縫いする 調べた範囲の辞書サイトではそもそも動詞として立項されていないことが多い。Wiktionary に語義の記載があ…

訳のアイデア: for you

中学生レベルの単語を使ったフレーズ「for you」ですが、IT の文脈で使われるときは「あなたのために」という意味ではないことがたびたびあるのです。 例えば、以下のようなケース。 The software periodically checks for system and app updates, and down…

読書: 『作詞入門 〜実例で学ぶポイントとコツ』

ここ半年くらい『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』というリズムゲームをプレイしています。 リズムゲームをプレイしていくと、経験値が溜まって、初音ミクとオリジナルキャラクターが登場するストーリーが読めるという仕組み。 で、…

翻訳のために景品表示法を勉強するよ~

仕事の空き時間を使って、景品表示法 (不当景品類及び不当表示防止法) について勉強しています。法律の文章がややこしい&消費者庁でいろいろな資料が公開されすぎ!なので、勉強メモがてらブログにまとめます。 景品表示法とは 景品表示法を学ぶ理由 翻訳現…

Self-documenting code とは

Self-documenting code という言葉をプログラミング関係の文書で最近よく見かけるのですが、日本語でピンとくるような説明が見つからなかったのでメモ。 名称について Self-documenting code と呼ばれるのが一般的だが、同じ意味で Self-describing code が…

訳のアイデア: agnostic

agnostic を辞書で調べると、「不可知論者 (の)」くらいしか語義が載っていなかったので、その他の訳語についてメモ。 IT 分野でよく使われる用法では、「~に依存しない」、「~を問わない」と訳すとうまくいく場合が多いです。 例 platform agnostic: プラ…

読書: 『街の公共サインを点検する』

東京オリンピック開催が決まったころ、公共サイン (駅や道路などの案内、看板、標識など) の翻訳需要が高まるかも~なんて話がそこかしこでありました。それから幾年… 私は主に英→日の翻訳をしているので、日→英 (中、韓 etc) の需要が主であろう公共サイン…

翻訳者の本棚

今週のお題「本棚の中身」 はてなブログのお題が好みのものだったので、久しぶりにお題記事を投稿します~ 読書友達と話をすると、自分の読書記録や本棚を他人に公開するか否か、という話題になることがあります。積極的に公開したい!という人もいれば、私…

翻訳祭が終わって

しばらく忙しくてブログを書く暇もありませんでしたが… 翻訳祭の見逃し配信期間も終わってそろそろ 1 か月になろうとしています。 配信期間終了ギリギリにまとめて一気見したのですが、中でも興味深かった講演は、「新しい翻訳英文法: 訳し上げから順送りの…

翻訳会社は何をしているのか?~第30回JTF翻訳祭聴講中~

もうすぐ翻訳祭の見逃し配信期間が終わってしまう!ということで慌てて未視聴分を消化しております。 今回チェックしたのは、 「翻訳案件管理をTBMS (翻訳案件管理システム)を使って 自動化する方法」と「翻訳業界における自動化ー取り組みの最前線と課題…

翻訳コメントの書き方

皆さんは、翻訳コメント、どのように書いているでしょうか? 翻訳業務では必要に応じてコメントを書くことが推奨されていますが、他の人のコメントを見る機会はあまりないので、何について書くべきか、どうやって書くべきか、どの程度の分量を書くべきか、お…