もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『一箱古本市の歩き方』

最近はコロナによる自粛もなくなって、本関係のイベントが復活してきていますね!

 

私が住む岡山県ではおかやま文学フェスティバルというイベントが2月23日から3月10日の約半月にわたって開催されており、お隣の広島県では3月29日から4月7日までの約1週間、ひろしまブックフェスというイベントが絶賛開催中です。もう少し小さい規模だと、ふくやまブックマルシェが3月20日に開催されたばかり。

 

そのようなイベントの一部として、「一箱古本市」という企画が行われています。参加者が段ボール 1 箱程度の量の古本を持ち寄って販売するフリーマーケットです。素人がやる古本屋さんごっこではあるのですが、特定のジャンルにはとても詳しい方もそれなりにいたりして、偶然の出会いが楽しみなイベントだったりします。

そのうち売り手として参加したいなぁ~~~と思いながら読んだのがこちらの本です。

著者は日本初の一箱古本市不忍ブックストリート一箱古本市)の発起人。前半は、一箱古本市を企画した経緯や開催までの道のり、箱の出品者へのインタビューなど、市の開催側目線の話が多め。後半は、著者が訪れた日本各地のブックイベントの紹介。人口1~数万人の町のイベントもいくつか。

本はもはやマイナーな趣味で、ある程度人口がいないとそもそも本屋が成立しないレベルだし、本好きの人を増やすなんてそんなの無理、と小さい町に引っ越してからつくづく思っているのですが、やり方次第でなんとかなるのかしら?と興味深く読みました。

そしてなによりも一箱古本市に出店側で参加したいと、改めて思いましたよ~~~

 

面白いなぁと思ったのが「ブックツーリズム」という発想。

本屋だけあっても町として機能しないということです。おいしいパン屋があって、気持ちのいい宿がある。旦那が古本屋巡りをしているあいだに、奥さんが山登りをするというように、いろんな楽しみ方がある。本好きの人たちがここに滞在することを目的にやってくるといい。それを『ブックツーリズム』と名付けてみたんです。(本書228ページ)

冒頭にあげたブックフェスのようなイベントへの参加を目的に旅行するというのもいいですよね。

イベントがなくとも、私自身、旅先で書店や図書館に寄ることが多いので、ブックツーリズムを既に実践していたのかもしれません。

ローカルな書店にはその土地出身作家の特集コーナーがあったりしますし、郷土出版のコーナーは全国に流通していない本の宝庫です。現地でしか買えない情報誌に載っている地元民向けのグルメやお店、イベントの情報は、観光ガイド本に載っている鉄板情報とはまた別で、ライブ感があって良い。

図書館は、建物が個性的だったり、観光パンフが入手できたり、郷土資料が充実していたり、無料の郷土資料館が併設されていたりするので、旅行中に訪れるメリットがあるかも。

書店も図書館もどこでも似たようなもの…ように思えますが、実はそうじゃない、というのに気付く人が増えればいいな…。

 

一方で、ブックツーリズムをしたい人向けに旅のついでに立ち寄れる書店や図書館、文学館等をまとめた情報源というのはまだ少ない状況です。

とはいえ、ブックツーリズムに役立つ内容の本もぼちぼち出版されていて、これまでに読んできたなかで面白かった本を挙げると…

 

本の雑誌 2017 年 7 月号の特集「本好きのための旅行ガイド」は、旅先で一般的な観光地も楽しみつつ、現地の書店や図書館、文学館なども楽しむ、というブックツーリズムの実践報告をたくさん集めたような内容になっています。

 

『図書館ウォーカー』は、全国津々浦々の図書館を訪ねた記録なのだけれども、図書館に行くのが主目的ではなく、電車の待ち時間などのちょっとした時間潰しといった「ついで」であるのがいい感じ。

 

『図書館さんぽ』は、図書館周辺のお店や施設などを載せた地図を掲載して、お出かけコースに図書館を組み込んでみることを提案しています。

 

とまあ、こんな感じ。

本×旅といっても楽しみ方は皆それぞれなのがわかります。

(本に限らず) 自分なりの旅の楽しみ方を見つけられれると、これからの旅がいっそうオリジナリティのあるものになるかもしれません。

(個人的に、観光ガイドや食べログの情報を確かめるだけの旅行はもったいないと思っているので…)