もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書: 『ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン』

今回読んだ本はこれ。『ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン』

 

先日、『はじめて学ぶ ビデオゲームの心理学 脳のはたらきとユーザー体験(UX)』という本を読んだのですが、そこで「ダークパターン」について触れられていたのがきっかけです。

 

ダークパターンとは、ユーザーをだまして意図しない行動へと誘導するユーザーインターフェースのことで、「ディセプティブ デザイン」とも呼ばれます。

具体的には、「登録は簡単だけど解約するためのボタンが分かりづらい Web サイト」とか、「商品を購入するとメール マガジンにも登録する通販サイト」なんかが該当します。誰でも覚えがあるのではないでしょうか。

携帯電話なんかもそうですよね。本体を契約するとき、使わないサービスもお試しだからと大量に付帯してきて、試用期間後に解約しようとすると解約方法が難解で…なんて。

 

本書は、サービスを売る側のセールス パーソンを対象に書かれた本で、どのようなものがダークパターンに当たるのか、ダークパターンを使う問題点は何かを解説しています。

 

個人的に重要だなと思ったポイントは以下のとおりです。

  1. ダークパターンに対する規制が強化されつつある: GDPR (EU 一般データ保護規則) や CCPA (カリフォルニア州消費者プライバシー法) の他、日本の特定商取引法などに、ダークパターンの規制が盛り込まれている。今後、さらに規制が強化される可能性がある。
  2. ダークパターンが企業のブランドを毀損する: ダークパターンにさらされたユーザーは、ダークパターンを使った企業に対する信頼を低下させる。
  3. ダークパターンは組織内部にも悪影響を及ぼす: 従業員が組織への不信感を抱く。

1 点目は、ユーザー インターフェースの設計に携わる人間としては把握しておくべき情報です。「解約ボタンの位置を分かりづらくする」とか「購入と一緒にメルマガ登録」とか、多くの会社が行っているので深く考えずに真似してしまいがちですが、度が過ぎるとアウトなので要注意ですね… (国民生活センターとかに通報されちゃうよ)。

2、3 点目に関しては、個人的な経験ですが、以前受けた UI 翻訳の仕事でダークパターンががっつり使われていたことがありました。翻訳のモチベーションが上がらなかったし、その会社はその後さっさとつぶれてしまいましたね…。解約のしづらさで収益を上げるより、サービスの良さで収益を挙げましょう…。