もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

県立図書館の利用者登録をした

当地に引っ越してきてから約1年半、ついに県立図書館の貸し出しカードをゲットしました。仕事の調べもののために。

 

最近は、簡単な調べものであればインターネットで済んでしまうし、電子書籍で手に入る書籍も多いのですが、ごくまれに (1 年に 1 度くらい) 大きな図書館で調べないとどうにもならない~~~ということがあります。

技術系の読み物を訳していたら古典的名著の引用があったり…とか、インターネット で見つかる情報はスラング的言い回し (に思えるもの) が多いのでフォーマルな言い方がないか調べたい…とか。

 

調べものの心強い味方が都道府県立図書館です。

小さな自治体に住んでいると、特に県立図書館のありがたみが身に沁みます…。

が、大きな都市に住んでいても都道府県立図書館 (以降、県立図書館) は役に立つ!市区町村立図書館 (以降、市立図書館) しか使わないのはもったいない!ということで、図書館のあれこれを少し紹介します。ちょっと図書館に行ってみようかな~と思っていただければ幸いです。

県立図書館と市立図書館の違い

県立図書館は市立図書館の規模 (蔵書数) を単に拡大したものである、という誤解があります (県庁所在地など大きな都市の市立図書館は、蔵書も、サービスも充実していて、県立図書館に比べて遜色ないこともありますが)。

 

大きな違いは、求められる役割です。

図書館法によって、市区町村立図書館は「住民のために資料や情報の提供等直接的な援助を行う」一方、都道府県立図書館は「市町村立図書館に対する援助に努める」ように求められています。

ざっくりいうと、市立図書館レベルでは需要が低くて購入しない本を県立図書館が購入して、必要となったときに貸し出す、みたいな感じです。市立図書館は同じベストセラー小説を何冊も購入することがありますが、県立図書館は購入するとしても 1 冊で、娯楽としての読書ではなく、調査や研究のために資料を提供するというスタンスです。

この役割の違いが、蔵書やサービスの違いに表れます。

県立図書館と市立図書館の違いを感じるためにも、ぜひ実際に県立図書館を訪れていただきたいです。

最寄の図書館で簡単に県立図書館の本を受け取れる

図書館から本を借りるときは、実際に図書館を訪れてカウンターで受け取らなければなりません。なので、生活圏にない図書館の本を借りるという選択肢は排除されがちです 。

しかし、多くの県立図書館では、貸出カードを郵送やオンラインなど実際に県立図書館を訪れなくても作成でき、最寄の市立図書館で図書の貸出/返却ができるサービスを実施しています。とっても便利!

最寄の市立図書館を通じて利用できる県立図書館のサービスはいろいろあるのですが、市立図書館のウェブサイトには記載がない場合があります。一度、自分が住んでいる自治体の県立図書館のウェブサイトにアクセスしてみたらいかがでしょう。

図書館固有のコレクションが魅力的

図書館固有のコレクションも見どころです。たとえば、神奈川県立図書館は雑誌創刊号コレクション、ベストセラーズ文庫など、人文系のコレクションが充実している一方、神奈川県立川崎図書館は、工業の街らしく、社史、規格資料、知的財産関連資料など、科学技術・工学関連のコレクションが充実している、という風に、図書館ごとに蔵書のこだわりが違います。

 

なお、市立図書館も同様に、館ごとに特定のジャンルの本を集中して集めているケースがあります。

東京都調布市立図書館は、昔から映画の撮影所や現像所が多数立地していて「映画のまち調布」として映画資料/視聴覚資料が豊富。東京都北区立図書館は英語 (のみならず他の言語も) の図書が充実していて、東京在住時はよく訪れました。『鋼の錬金術師』『よつばと!』『けいおん!』『のだめカンタービレ』『ONE PIECE』なんかの英語版もあったので、いろいろと読ませていただきました。ちなみに、北区図書館の利用者カードは誰でも (北区に住んでいなくても) 作れてしまうのです…!

東京の図書館以外の例として、浜松市立図書館を挙げます (帰省中によく使うので)。いくつも分館がありますが、北図書館は技術・工学関係、城北図書館はビジネス関係が充実というように、地域の特色に合わせて分館ごとに注力して集める書籍の分野が異なっています。1 館に特定分野の書籍がまとまっていると、調べものが効率的に進みます。調べたい内容ごとに訪れる図書館を変えるのはちょっと面倒なんですけどね。

 

このように、一口に図書館と言ってもそれぞれに特色があるので、自分の専門分野の書籍が集まっている図書館を把握しておくのもお勧めです。

県立図書館と市立図書館は二重行政か?

今から 10 年も前の 2012 年の出来事ですが、備忘録的に載せておきます。

www.kanaloco.jp

www.j-cast.com

神奈川県と大阪府で県立/府立図書館の廃止報道がありました。結局、いずれも廃止にはならなかったのですが…。神奈川や大阪のような大きな府県が、コストカットのために図書館を廃止しようとするとは、ちょっと驚き。

特に県立図書館が立地している都市では、そもそも市立図書館の規模が大きく、サービスも充実していて、県立図書館との違いが分かりづらいために、県立図書館なんてなくても困らないでしょ、となりがちなようです。

しかし、「県立図書館と市立図書館の違い」で書いたように、県立図書館は市立図書館とは違う役割があり、違うレベルのサービスを提供しています。特に、小さな自治体の住民としては、市立図書館では得られない書籍やサービスが多いので、県立図書館を気軽に利用できるかどうかが重要です。世の中には、図書館を設置していない市町村もあるそうで (しかも、大阪府と神奈川県にも)、そういう自治体の住民にとっては、県立図書館が市立図書館のように第一に頼るべき図書館になることを考えると、県立図書館の大切さがわかります。