もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

オリンピックで思い出す…人名の翻訳

オリンピックはほとんど試聴していないのですが (というか興味のある競技を地上波でやっていない)、ふと、昔スポーツメディア関係の翻訳をやっていたことを思い出しました。

 

スポーツ関係の用語を訳したり、選手名をアルファベットからカタカナに直す作業だったので、翻訳というよりは用語集の整備に近い感じでした。

オリンピックやワールドカップなど、大きな大会があると作業量が一気に増えるので、戦々恐々としたものです。

 

とりわけ厄介だったのが、外国人名の翻訳です。

難しい点はいくつかあります。例えば、

  • Michael は欧米圏によくある名前だが、英語、ドイツ語、フランス語読みで読み方が違う→よくある人名でも、それぞれ国籍を調査して適切な読み方を確定する必要がある
  • 今までカタカナ化されたことのない人物名も多い→母語を調査した後に、その言語の発音方法を調査する
  • 複数の表記方法がある (調音「ー」を表記するか、ヴァ行にするかバ行にするか etc.) → 一貫して表記できるように表記方法を検討・決定する

など、ひたすら調査!検討!で時間がかかります。

英語、フランス語、イタリア語など、学習人口が多い言語であればカタカナへの転写方法が決められていることも多く、定訳が決まっている人名もあるので、ある程度作業が進むのですが、北欧、アフリカ、アジア各国の名前はどうやってカタカナにすれば?と悩むことがしょっちゅうありました。幸い、チームを組んでの作業だったので、その言語を学んだことがある人もいて、質問したり、質問されたりで、何とか人名集を完成させていきました。 

(マイナー言語を学んだ経験があると、ビビらずに発音の調査に取り組む自信が持てるので良いですよ…!それにしても、翻訳者の方は専門の言語の他にも外国語の勉強をしている方が多いですよね~~!)

 

とはいえ、見慣れないアルファベットの並びをひたすら読み続けるのは、慣れない人にとっては結構なストレスだったようです。

そこで、ある程度読み方にアタリを付けるためのヒントがあったほうが良いだろうということで、以下のものを活用していました。

 

 記者ハンドブック

巻末の資料編に、外国人名表記例と、外国の地名・人名の書き方のガイドがあります。英語、ドイツ語、イタリア語などの欧米のメジャー言語に加え、中・東欧、中国、韓国、東南アジア、アフリカの人名の書き方がコンパクトにまとまっているので、作業開始前に一読を勧めていました。

 

Forvo

オンライン発音辞書サイト。

現時点で、390 の言語で 600 万以上の単語がネイティブの発音で聞けるそうです。

発音が登録されていない単語にはリクエストする機能もあり。

ja.forvo.com

 

YouGlish

Youtube 動画の中から、聞きたい単語やフレーズが登場する部分をピックアップしてくれるサイト。英語の発音確認に便利。

youglish.com

 

 

欧羅巴人名録

 個人のサイトなので別途裏取りが必要ですが、10 言語の名前が収集されカタカナ表記されているのはありがたいです。

www.worldsys.org

 

そんなわけで、国際的な大会の中継を見ているときには、その裏で選手名の読み方を調べている翻訳者がいるんだろうなぁということを考えずにはいられません。