もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

Markdown (.md) ファイルの翻訳依頼が増えている

最近、.md という拡張子のファイルの翻訳を依頼されることが増えている。

Markdown と翻訳まわりのことをざっくりまとめてみた。

 

 

Markdown とは

詳しくは Wikipedia 参照。

Markdown という軽量マークアップ言語のこと。簡便な約束事に従って、手軽にレイアウトやスタイルなどの装飾を加えた文章が書ける。

この言語で書いたファイルは .md という拡張子で保存する。

 

Markdown と HTML の表記を比べてみると、そのシンプルさが際立つ。

Markdown: *太字*と_イタリック_

HTML: <strong>太字</strong>と<em>イタリック</em>

 

Markdown から HTML に変換するツールがあるので、Markdown を覚えれば、かなり省エネで文書を書けるようになる。

Markdown の広がり

Markdown が登場したのは、2004 年のことらしい。以来、翻訳対象ファイルでよく見かけるくらい、普及してきているようだ。

まず、ソースクライアント側での使用の広まり。今まで HTML だったのが、Markdown に切り替わった案件がいくつかある。

それから、CAT ツールの .md ファイル対応。Trados で .md ファイルを使えるのは、2019 SR2 以降らしい。結構最近。

www.sdltrados.com

そんな感じで、翻訳依頼の増加につながっている気がする。

クライアントごとに異なる記法、Markdown 関係のトラブル (泣)

Markdown 記法はシンプルで良いのだが、クライアントごとに微妙に異なる指示が来る。大変に面倒臭い。

  • * や _ などの Markdown 記号の前後にはスペースを入れる: 基本的には記号の前後にスペースを入れなくてもいいはずなのだが、翻訳の後工程で .md ファイルを .html ファイルに変換するときに、スペースなしでは Markdown 記号を認識してくれないツールがあるっぽいのだ。後工程に使うツールの仕様によって翻訳者が振り回されるの、誠に理不尽。
  • * _ [ ] ( ) : , . は訳文に追加しない: Markdown で使われる記号は、原文に存在しない限り訳文で使ってはいけないという指示。下手に記号を追加すると後工程でエラーが続出するかららしいのだが、この指示が来ると翻訳は結構ハードモードである。スタイルガイドには UI は [ ] で囲むとか、リンクは「英語タイトル」(日本語タイトル) とするとか、これと矛盾する指示もあるのでクライアントに確認が必要になる。
  • スペースに注意: Markdown 記法ではスペースも重要な意味を持つので、よくよく注意を受ける。例えば、スペースが 2 つ連続すると改行を表す、とか。気づかぬうちにやらかしているパターンが多いらしい。
  • TM の汚染: 上記の指示が過去の指示と矛盾している場合、TM の汚染が発生する。TM の過去訳を流用したら、上記の指示に従っていなくて後工程でエラーが発生した…なんてトラブルも。

.md ファイルの表示のチェック

原典ファイルが .md だと、レイアウトやスタイルが直感的には分からない。Web ブラウザで簡単に表示できるので、必ず表示を確認しながら作業をする。

ブラウザは初期状態だと Markdown を認識せず、単なるテキスト ファイルと同じように表示してしまうので、使っているブラウザに合わせてアドオン (拡張機能) をインストールする。

 

Firefox ならこんな感じ。

  1. Firefox を起動する。
  2. Markdown Viewer – 🦊 Firefox (ja) 向け拡張機能を入手にアクセスして、アドオンを追加する。

アドオンを追加したブラウザに .md ファイルをドラッグ&ドロップすれば、.html ファイルと同じ感じで表示を確認できる。

 

翻訳完了後には訳文ファイルを同様にブラウザで表示して、Markdown を壊してしまっていないか確認するのが良い。