もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

退院しました + コロナ下の入院生活&入院の持ち物備忘録

退院しました!

 

腹腔鏡 + 小開腹手術だったのですが、術後 3 日目でさっさと退院。 早い!! (本当はあと 2 日くらい入院しているものらしい)。

本日は術後 8 日目。家事をしたり、オンラインウェビナーに参加したり、読書をしたりできる程度に回復しました。

 

コロナ下の入院生活はずいぶんと暇でした。平時との違いでいうと、以下のようなことがあるでしょうか。

入院時に PCR 検査: 唾液で検査して、1 ~ 2 時間後には結果が出ました。

入院患者への家族等の面会禁止: 看護師を通じて荷物の受け渡しはできるのですが、面会は禁止でした。忙しい中家族にわざわざ病院まで来てもらうのは申し訳ないので、面会禁止なのは逆によかったかもしれません。病院内にはコインランドリーや売店が揃っているので、自活できます。

患者同士の会話は控えめ: 4 人部屋に入りましたが、同室の人に挨拶をするイベントもなく、皆さんカーテンを閉め切って過ごしていて、患者同士の会話は発生しませんでした。患者への面会禁止も相まって、談話室も閑散としていました。

配茶サービスの中止: 感染防止・衛生上の理由から、配膳時の配茶サービスが中止になり、希望者はパックのお茶を購入するようになっていました。買わなくても、看護師さんに頼むと水道水をコップに汲んでくれました。給湯室からお湯をもらってくるのもありです。

 

また、入院時の持ち物について、こうしておけばよかったなぁという点がいろいろとあったので忘れないうちに記録しておきます。

 

持ち物

  • パジャマ: 前開き (着替えさせてもらいやすい) で、ゆったり (注射のとき、肩近くまでめくれるように) したものを。持って行ったパジャマのうち一着が、かなり体にフィットしているやつだったので、注射の時に袖が十分にめくれないという事態になりました…。
  • 下着: 手術による傷をできるだけ刺激しないデザインのものを。今回は開腹手術だったので、股上深めでおへその上までカバーしてくれるパンツがベストでした。股上が浅いと動くたびに傷に触れて不快でした…。
  • iPad: 入院中は特にすることもなかったので、Kindle Unlimited で借りた本をひたすら読んでいました。物理で書籍を持っていったら大変な量になっていたはずなので、便利な時代になったものです。病院内は電波が悪いことがあるので、コンテンツは入院前にダウンロードしておいた方がベター。電波が悪い場所でダウンロードする場合は、漫画より小説の方が短時間でダウンロードできてすぐ読めます。

2022 年 9 月に読んだ本

9月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:1797
ナイス数:27

名探偵だって恋をする (角川文庫)名探偵だって恋をする (角川文庫)
読了日:09月30日 著者:伊与原 新,椹野 道流,古野 まほろ,森 晶麿,宮内 悠介
つめたい転校生 (角川文庫)つめたい転校生 (角川文庫)
読了日:09月30日 著者:北山 猛邦
ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔
読了日:09月29日 著者:小泉 悠
#大好きマイクロブタさん#大好きマイクロブタさん
読了日:09月26日 著者:mipig
だれのものでもない岩鼻の灯台だれのものでもない岩鼻の灯台
読了日:09月25日 著者:山下 明生
怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)
読了日:09月25日 著者:京極 夏彦
ブックカフェを始めよう!ブックカフェを始めよう!
読了日:09月18日 著者:河野 真,長野 一哲,荒井 美名,楠元 武久
ニューヨークの看板ネコニューヨークの看板ネコ
読了日:09月18日 著者:仁平 綾
紅茶入門 (食品知識ミニブックスシリーズ)紅茶入門 (食品知識ミニブックスシリーズ)感想
紅茶検定の参考書として読んだ。誤記や用語の表記ブレが多い…
読了日:09月11日 著者:清水 元
身体のいいなり身体のいいなり
読了日:09月04日 著者:内澤 旬子
嫌いなら呼ぶなよ嫌いなら呼ぶなよ
読了日:09月03日 著者:綿矢りさ

読書メーター

闘病記を読む

入院が決まってからというもの、「闘病記」ジャンルの本をちょいちょい読むようになりました。

 

図書館では、闘病記は医学の棚ではなく、文学 (日記・手記) の棚に置いてあることが一般的です (館によっては「闘病記」コーナーがあるところも)。あくまで、病気になった本人や看病した人が闘病の記録を付けたものなので、医学的な情報を提供する本ではなく、日記・手記なのですね。

 

出版されている点数が多いのは、癌や脳関係の病気が多く (命にかかわる可能性が高く、治療が長期にわたるからなのでしょう)、それ以外の病気の闘病記はゼロではないもののごく少数です。

というわけで、私が患っている子宮筋腫に関する闘病記は見つかりませんでした (コミックエッセイはあるのですが、ここではカウント外)。

 

そういう状況でどのような本を読んでいるかというと、女性でフリーランス (文筆業) の方が書いた闘病記です。

入院してください! と言われると、様々な不安が胸をよぎります。仕事がどうなるのか (会社員じゃないから誰も代わってくれないよ)、入院中の収入はどうなるのか、家事はどうするのか、退院した後に仕事は戻ってくるのか…。自分がフリーランスなので、フリーランスの方が書いた闘病記は仕事に関する不安に関して共感できる点がかなり多いのです。心配事がいろいろとある中、どのように気持ちを整理していったのかを知れるのが、個人的に一番の読みどころです。

 

なかでも良かった闘病記が以下の 2 冊。いずれも、闘病 (治療) の記録というよりは、病気になってから生活や気持ちを丁寧に著していて、元気をもらえます。

更年期障害だと思ってたら重病だった話』の著者、村井理子さんは翻訳者でありエッセイスト。私と同業の「翻訳者」というところがポイント高し。個室にパソコンを持ち込んで仕事をしてしまうエピソードが強いです。

村井理子さんの本はこれまでに翻訳書しか読んだことがなかったのですが、本書を読んでいて、なるほどこの方の翻訳書が読みやすいのはそもそも日本語でこれだけ読みやすく書ける (語彙のチョイスやリズム感、文と文のつなげ方など) からなのだなぁと納得したのでした。

 

身体のいいなり』の内澤旬子さんはルポライター乳がんアトピー、腰痛、引越し、と大変なイベントに怒涛のように襲われてしまいます。そして何よりお金がない、保険に入っていない、お金が無くなる恐怖。そんな切実な状況の中、冷静に周囲を観察して、批判的に考えを巡らせているのは流石というかなんというか。

 

文筆業の方の闘病記を読んでいると、闘病中 (入院中) もばっちり、というかいつも以上に冴え冴えと (?) 頭を働かせて、仕事しちゃっている方が多いのだなぁという印象があります。まぁ、病気をネタに本を書くようなタフな人なので、文筆業なら病気でも仕事できる! っていうのは生存バイアスの可能性が高いですが。

手帳は毎年バーチカル

久々に、お題に沿った記事を。今週のお題は「はてな手帳出し」です。

 

今年も書店や雑貨店に手帳が並ぶ季節になり、2023 年の手帳を早速購入しました。

手帳は毎年バーチカルタイプのものと決めています。以下の写真のように、1 日の予定を時間ごとに区切って管理できるタイプのものです。

バーチカルタイプを使うようになったのは、社会人になってから。

会社員時代には、X 時までに A 社に納品、Y 時までに B 社に納品…などと、毎時毎時こまごまとした予定があったので、バーチカル式がぴったりでした。

 

フリーランスになってからは、1 日に何件も納品するような働き方ではなくなりました。手帳は引き続きバーチカルですが、その使い方は大きく変わりました。

その日の仕事の記録を付けるようにしたのです。

9:00~11:00 メール対応

11:00~15:00 XXX 社翻訳 1000w

15:00~17:00 YYY 社レビュー 1000w

といった感じに。

後から見直したときに達成感があるし、自分の作業ペースや、1 週間の仕事のサイクルを把握できて便利です (手帳ではなく Excel や専用のアプリなどで記録してもよいのですが、わざわざアプリを立ち上げるのが面倒なので、机の上に手帳を開きっぱなしというスタイルです。ざっくり記録するだけで満足してますし)。

 

なお、『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』によれば、このように自分の行動を手帳に記録していくと、控えたい行動・認知を減らしたり、習慣化したい行動を増やしたりでき、行動の改善につながるそうです (詳しくは本書の「技法 6 行動記録表」と「技法 7 グレー時間クレンジング」をご覧ください)。

 

 

しばらく入院&休業します

急なお知らせ! ですが、9 月末から 1 週間ほど入院します。

子宮に大きな筋腫がいくつかありまして、切除することになりました。結構前から下腹部にしこりがあるな~?と思っており、今年の 4 月ごろに何とか時間を作って婦人科を受診し、これは手術ですね~と言われて大学病院を紹介され、手術スケジュールが当分埋まっていたので今になってやっと入院の順番が回ってきました。

なにぶん初めてのことなので準備でバタバタしております。

 

でもって、入院前後のお仕事は断って 1 か月ほど休業することにしました。

今週から手持ちのお仕事がゼロです。前職を辞めた後も、結婚したときも、引っ越しのときも、さっさと仕事に復帰したので、こんなに手持ち無沙汰になることはなく、なんだかそわそわしています。ああ、暇って苦手。

無事に退院して体調が良ければ、フリーランスになってから現在に至るまでの業績を見直して、今後のビジネスプランをじっくり考える予定です。円安のこと、インボイスのことなど、考えねばならないことはいっぱいありますね…💦

 

 

実務家が理論を学ぶべき理由

先日、『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜』という本を読みました。

本編が面白かっただけでなく、番外編として掲載されていた著者とゴスペラーズ北山陽一さんの対談もとっってもよかったので、紹介させてください。

 

北山さんは現在 SFC で大学院生をしていて、たまたま著者の授業をとったのがきっかけで今回の対談が実現したとのこと。対談のテーマは、「音声学と歌」。すでに音楽のプロとして活動している北山さんが音声学を学ぶことで、プロとしての活動にどんな影響があったのかが語られます。

 

私たちは、音声学を学ばなくても、しゃべったり、歌ったりと、声を出すことができます。プロになる人はさらに上手に声をコントロールする (しかもそれが感覚的にできる人が多い) わけですが、そこに音声学の知見が加わるとより精緻なコントロールが意識的にできるようになる、精緻なコントロールが求められるプロこそ音声学を通じて発声のメカニズムを知っておくべきだ、というのが北山さんの意見です (雑なまとめなので、詳しくは本書を読んでください!!)。

 

北山さんの例は音声学の知見が声の仕事に生かせるというものでしたが、この対談を読みながら、他の職業でも理論を実務に活かせる事例が多々思いつきました。

 

例えば、画家やイラストレーターにとっての解剖学や配色理論だったり。プログラマーにとってのコンピューターサイエンスだったり。

解剖学や配色理論を知らなくても絵は描けます。コンピューターサイエンスを知らなくても、プログラミングはできるでしょう (私もプログラミングをしますが、ちゃんと勉強しておらず、ほとんどコピペです汗)。しかし、プロとして仕事をするには理論を知らなければならない、理論なくして高度な応用はできない、というのが長く仕事を続けているプロの意見ではないでしょうか (Yahoo 知恵袋やら、Twitter やらで、大学に行くか、OJT でスキルを身に付けるか悩む若者に対し、理論を学ぶことをお勧めする意見をよく見ます)。

 

では、翻訳者が学ぶべき理論とは何でしょうか。

どのような翻訳にも共通で役立ちそうな学問をピックアップしてみました。

  • 外国語を読む、訳す … XX 語学、翻訳論
  • 辞書を選ぶ、辞書を引く … 辞書学
  • 情報を探す、検索する … 図書館情報学
  • 分かりやすい/読みやすい文とは何か … 認知科学

外国語の読み書き、辞書引き、資料の調査など、専門的に学ばなくても感覚的にできる翻訳者が多いとは思いますが、これらの理論を学んでみると案外新しい発見があるかもしれません。

服飾関連の動詞: merrow と sublimate

仕事中に手持ちの辞書にない言葉が出てきたのでメモ。

服飾系の専門辞書には載っているのかしら?

 

Merrow: オーバーロック加工する、かがり縫いする

調べた範囲の辞書サイトではそもそも動詞として立項されていないことが多い。Wiktionary に語義の記載があり。

オーバーロックミシンを発明した Merrow Sewing Machine Company 社が語源。

日本語でも、「メロウ作業」「メロウ仕上げ」「メロウ加工」など、「メロウ」がオーバーロックの意味で使われることがあるみたい。

 

Sublimate: 昇華転写プリントを行う

辞書には化学や心理学の「昇華させる」という意味は載っていても、服飾系の語義はなし。

Sublimation Printing (昇華転写プリント) を行う」という意味で動詞 sublimate が使われている例に遭遇。