もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

闘病記を読む

入院が決まってからというもの、「闘病記」ジャンルの本をちょいちょい読むようになりました。

 

図書館では、闘病記は医学の棚ではなく、文学 (日記・手記) の棚に置いてあることが一般的です (館によっては「闘病記」コーナーがあるところも)。あくまで、病気になった本人や看病した人が闘病の記録を付けたものなので、医学的な情報を提供する本ではなく、日記・手記なのですね。

 

出版されている点数が多いのは、癌や脳関係の病気が多く (命にかかわる可能性が高く、治療が長期にわたるからなのでしょう)、それ以外の病気の闘病記はゼロではないもののごく少数です。

というわけで、私が患っている子宮筋腫に関する闘病記は見つかりませんでした (コミックエッセイはあるのですが、ここではカウント外)。

 

そういう状況でどのような本を読んでいるかというと、女性でフリーランス (文筆業) の方が書いた闘病記です。

入院してください! と言われると、様々な不安が胸をよぎります。仕事がどうなるのか (会社員じゃないから誰も代わってくれないよ)、入院中の収入はどうなるのか、家事はどうするのか、退院した後に仕事は戻ってくるのか…。自分がフリーランスなので、フリーランスの方が書いた闘病記は仕事に関する不安に関して共感できる点がかなり多いのです。心配事がいろいろとある中、どのように気持ちを整理していったのかを知れるのが、個人的に一番の読みどころです。

 

なかでも良かった闘病記が以下の 2 冊。いずれも、闘病 (治療) の記録というよりは、病気になってから生活や気持ちを丁寧に著していて、元気をもらえます。

更年期障害だと思ってたら重病だった話』の著者、村井理子さんは翻訳者でありエッセイスト。私と同業の「翻訳者」というところがポイント高し。個室にパソコンを持ち込んで仕事をしてしまうエピソードが強いです。

村井理子さんの本はこれまでに翻訳書しか読んだことがなかったのですが、本書を読んでいて、なるほどこの方の翻訳書が読みやすいのはそもそも日本語でこれだけ読みやすく書ける (語彙のチョイスやリズム感、文と文のつなげ方など) からなのだなぁと納得したのでした。

 

身体のいいなり』の内澤旬子さんはルポライター乳がんアトピー、腰痛、引越し、と大変なイベントに怒涛のように襲われてしまいます。そして何よりお金がない、保険に入っていない、お金が無くなる恐怖。そんな切実な状況の中、冷静に周囲を観察して、批判的に考えを巡らせているのは流石というかなんというか。

 

文筆業の方の闘病記を読んでいると、闘病中 (入院中) もばっちり、というかいつも以上に冴え冴えと (?) 頭を働かせて、仕事しちゃっている方が多いのだなぁという印象があります。まぁ、病気をネタに本を書くようなタフな人なので、文筆業なら病気でも仕事できる! っていうのは生存バイアスの可能性が高いですが。