もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『肩書きの辞典』

このたび読んだのはこちら。

 

 

肩書き、というのは翻訳者にとって鬼門です。

先日読んだ『同時通訳者のここだけの話ープロ通訳者のノート術公開ー』でも、肩書きには要注意という言及があり、大いに首肯したところです。私も過去には肩書きの訳でクライアントに満足いただけなかったことがあって…ゲフンゲフン!ということで、今ではかなり慎重になっています。

ほんの 1 単語、director という単語さえ、部長と訳すのか、課長と訳すのか、そのままディレクターとするのか…それ以外の可能性があるのか? コンテキストを調査して判断するまでかなり時間をかけねばならぬものなのです (産業翻訳の場合はクライアントに指示を仰ぐことも多々)。

 

そんな肩書きに関するモヤモヤを抱えているときに出会ったのが本書です。

本書はさまざまな業界関係者に取材して編まれたとのことで、一般企業の肩書きから政治・行政、伝統・文化 (伝統芸能や稽古事、宗教など) まで幅広くカバーされています。

とはいえ、紙幅にも限りがあり、広く浅くで、各業界の肩書きを簡単にまとめたものなので、翻訳の仕事には応用が利きそうもないのですが。また、一般企業については会社によって名前が違ったり、偉さの上下が変わる、仕事の内容が異なる役職があったりするそうなので、これを覚えれば完璧!という役職リストはやはり作れないそう。なんてこったー!肩書きの翻訳の難しさは…推して知るべし。

 

じゃあ本書は何の役に立つの? という点ですが。決定版と言えないまでも、さまざまな業界の肩書きを一般的な偉さ順にリストアップしてくれていて簡単な解説がついているというのは、例えば小説やドラマを楽しむときに、人物関係やキャラクターのそれまでの経歴なんかを理解する上では大いに役立つでしょう。

私は小さな会社にしか務めたことがないので、一般企業の係長、課長、次長、部長…といった肩書きすら、たまーに思い出せなかったりしますから…。