もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『「静かな人」の戦略書』

今回読んだ本はこれ。

静かな人(内向型の人)――それって私のこと!と思い手に取った一冊であり、自分の周囲の人に勧めたくなった一冊です。

 

類は友を呼ぶ…だし、そもそも翻訳者って内向型の人が多いですよね?翻訳会社勤務時代、会合やイベントに参加したり、人前で発表したり…自分を含め、そういったことはできるだけ避ける人が多かったのを思い出します。いざ避けられなくなったとき、どうしたらいいんだろう?と途方に暮れてしまう同僚が多いのではなかろうか(学生時代にある程度訓練を積んでいて、出来ないことはないとは思うのですけど…)。それはさておき。

 

世の中は外向型の人――会話が好きで、誰とでも友達になれ、自己主張が得意で、判断や行動が速い――の資質が高く評価される。社会でうまくやっていくには、内向型の人は外向型の振る舞いを求められる。著者はそう指摘します。全くその通り、自分も就活のときや会社員時代、そんなことを考えていました。

 

しかし、本書は外向的に生きようというのではなく、内向的なら内向的なりに、資質を活かしてうまくやっていこうというのが主旨です。

 

著者は台湾出身の国際的に活躍する女性。大学時代からアメリカに渡り、高い倍率の競争を勝ち抜いてスポーツ・マーケティングインターンシップに参加したり、アメリカの州政府で働いたり、国際機関のマネージャーになって大勢の前でプレゼンをしたり、華やかな世界で生きているように見えます。

しかし、子どもの頃からおとなしくて恥ずかしがり屋の内向的な性格で、そのことをコンプレックスに感じていました。社会人になっても悩みは尽きず、人前で話したり、パーティや懇親会に参加したりするたびにプレッシャーを感じて、逃げ出したくなってしまうのだそう。

本書は、「戦略書」というタイトルからすぐに実践で使えるようなノウハウを期待しているかもしれませんが、著者が経験したピンチや知り合いの話を挙げて、それにどのような対策を取って乗り切ってきたのかの説明の繰り返しで展開していきます。著者の話からどんな教訓を得るかは自分次第。でもって、経歴が経歴なので、自分にはそんなピンチが訪れるわけない…と思ってしまうかもしれません。しかし、準備の方法や心の持ち方などは参考になるところがあるはずで、読むとちょっと前向きな気分になれます。

 

本筋とは逸れますが、ちょっと興味深かったのは、著者が内向型の人向けの本をいろいろと読んで、自分に合ったやり方がないかどうかを研究しているところです。本を読んで解決策を探るというのがいかにも内向型らしい…というのもそうですが、外向型社会と言われるアメリカでも悩んでいる内向型の人がいっぱいいるんだなと。

あと、「内向型」(introvert)と「外向型」(extrovert)をタイトルに含む本を探してみると、日本語の本も英語の本も前者が圧倒的に多い!どこの国でも、内向型であることがコンプレックスな人が多いんだなぁということが分かる結果でした。