もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『寝るまえ5分の外国語』

今回読んだ本はこちら。『寝るまえ5分の外国語:語学書書評集』

 

本書は最初から最後までひたすら「語学書」――英語に限らずさまざまな言語の辞書、単語集、文法書、会話集、ドリル、果ては検定問題集まで―― の書評集です。

 

語学書なんて普通は書評を読んで買うものではないですし、そもそも書評の対象になるのか?が疑問ですよね。本書に掲載されている書評は、コラムも併せてなんと100本。目次を見ると、ほとんどが英語以外の言語で、いわゆるマイナー言語も多い。書評を書く方もきっと大変ですが、読む方も飽きずに読めるのか…!読み始める前は少しハードルを感じていました。

 

結局、そんな心配は不要だったわけですが――。

 

本書が面白いのは、語学書とのかかわり方や語学書を読む着眼点が多様なところです。

あるときは、会話集の例文のシチュエーションを面白がり、またあるときは、文法書から分かる著者の人柄に思いをはせる。ミニサイズの語学書を移動中に読んでみる。ひと昔前の語学書で、今では死語になった言い回しを見つけて時代の変化を感じる。旅行先でのエピソードを思い出す。自分が語学書を執筆した経験から、著者の苦労を想像する。その言語を専門的に学んでいる知人の話を聞いてみる。

そんな感じで、この先ずっと勉強することはないだろうなぁと思う言語の語学書の書評をぐいぐいと読まされてしまいます。実際、その言語を勉強しようとは考えませんが、昔読んだ語学書を読み直してみようかしら、くらいは思ってしまいます。

語学書を読むことは、語学学習は、こんなに面白いんだよ、というのをおすそ分けされている気分です。

 

これだけ多様な切り口から語学書を語れるというのは、それだけいろいろな視点から語学に向き合ってきた (向き合い方を試行錯誤してきた?) たくさんの経験があるんだろうなぁと想像します。それが、自分にしか書けない書評というオリジナリティを生み出しているんだろうなぁ、とも。

 

私もちょこちょことブログに読書記録を載せていますが、お手本にしたい一冊です。