仕事の一環で、あるいはプライベートのふとした瞬間に、ある外国語の本が日本語に翻訳されているかどうかを調べなければならないことがあります。また、書籍の日本語タイトルから、外国語タイトルを調べなければならないこともあります。
少し具体的に言えば、こんなとき。
- 外国語の書籍を日本語に翻訳しているとき:原書で他の本が引用されているので、その本が日本語訳されているかどうかを知りたい。日本語訳されていれば、日本語版の正しいタイトルを知りたい。
- 外国語の勉強に使う本を探しているとき:原文と訳文を対照して勉強したいので、ある外国語書籍の日本語版が出ているかどうかを知りたい。ある翻訳書が人気なので、原書で読んでみたい (そのために原題を知りたい)。
- 書店の外国語図書コーナーで:自分の好きな日本人作家の作品の外国語版が売っている。どの本を翻訳したものか知りたい。
Google でちょちょいと調べられれば楽なのですが、簡単に見つからないことも多いのです。
大きな原因は、外国語版のタイトルと日本語版のタイトルが併記されている Web ページが少ないことでしょう。Amazon で翻訳書を買おうとしたとき、その本の概要・詳細欄に原書タイトルが書かれていないことが多々あります。翻訳書 (特に、専門書や実用書) の表紙にはデザイン的に原書タイトルもあしらわれていることもあるのですが、テキストデータ化されていないために検索から漏れてしまうことがよくあります。
それから、こまごまとした問題ですが、Google で日本語版タイトルが見つかったと思ったら、便宜的にタイトルが翻訳されていただけで、翻訳が実際には出版されていなかった…なんてこともあります。
では、どこで調査すれば簡単かつ正確に翻訳書の有無とタイトルがわかるのか?ということで、以下に個人的によく使っているツールを挙げていきます。
国会図書館サーチ (https://ndlsearch.ndl.go.jp/)
日本で出版された翻訳書籍の原題・邦題を調べるならまずここです。
国会図書館は国立の図書館であり、納本制度によって日本国内で出版されたすべての出版物の収集・保存を行っています。
国会図書館サーチは、その国会図書館に所蔵されている書籍のデータベースを検索するシステムです。つまり、ここでは日本国内で出版されたすべての出版物を検索できる、と言ってよいでしょう。
このデータベースを検索すると、以下のように原題を確認できます。
一般注記の欄に原タイトルが書かれています。
この画面をスクロールすると、さらに詳しい情報が。
このように、データベースには原題も登録されているので、原題から邦訳タイトルを検索することができます。
ちなみに原題が登録されている範囲ですが、書誌データQ&A|国立国会図書館―National Diet Libraryには次のようにあります。
Q 翻訳書のもとのタイトルが知りたいのですが。 A
国会図書館サーチでは、見つかった本を所蔵している図書館もわかります。
原題を調査している場合に限っては、国会図書館サーチに翻訳書の原題データがなくても (1977年以前の作品には原題データがない可能性があります)、書籍そのものを見れば原題を確認できるはずなので、近所の図書館にその本があれば手に取ってみるのもいいですね。
OCLC Worldcat(https://search.worldcat.org/ja)
世界110カ国以上、10,000以上の図書館の蔵書を目録化した世界最大の総合目録です。
国会図書館サーチの全世界版といえるでしょうか。
日本語で書かれた書籍が外国語に翻訳されているかどうかを調べる際に便利です。
検索結果はこんな感じ。
著者名で調べる場合はローマ字で入力すると良し。
言語などのフィルターで結果を適宜絞り込みます。
外国語のタイトルから日本語のオリジナルタイトルを調べたい場合は、注記欄をチェックします。残念ながら 100% 書かれているわけではありませんが、調べてみる価値はあるでしょう。
その他
私が調べものをするときは、だいたい上記の 2 つのツールで見つかることが多いですが、他にも調べものに使える資料はあります。
ユネスコの国際的な翻訳書誌データベース IndexTranslationum (https://www.unesco.org/xtrans/bsform.aspx、1979年分から検索可能) や、アナログな手段になりますが日外アソシエーツから出ている『翻訳書原題邦題事典』『翻訳図書目録』『翻訳小説全情報』他多数の資料が役立ちます。