もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書:『世界の名前』

先週に引き続き、各国/地域の名前に関する本を読んでいます。

 

今回紹介するのは、『世界の名前』という本です。

 

各国/地域、言語の専門家による、「名前」についてのエッセイが 100 本載っています。

エッセイは 1 本あたり 2 ページ程度。短いのですが、その国/地域の名前の習慣や歴史など、面白いところがぎゅっとまとめられていて読み応え抜群です。

 

この本で、むりやり自分の仕事 (翻訳) に関連付けられる教訓があるとすれば、「全世界に共通の名前の常識があると思うな」ということでしょうか。

 

私が請けている仕事では、ある言語から別の言語にただ翻訳するだけではなく、翻訳物がその言語圏で効果が上がるようにアドバイスを求められることもあります。

例えば、通販サイトの会員登録ページ。日本では「姓」「名」の順で入力フィールドを並べますが、翻訳先の言語では「名」「姓」の順にしようとか、オプションとして「ミドルネーム」フィールドも追加した方がよいとか。短すぎる名前や長すぎる名前は入力ミスが疑われるけど、何文字からアラートメッセージを出しましょうか?とか。

こういった仕様は翻訳元・翻訳先の言語の「常識」で決めてしまいがちなのですが、本書で紹介されている各地の習慣を知ると (姓を持たない、家族全員姓が違う、成長したら名前を変える、名前がめちゃくちゃ長い etc)、自分の「常識」で決めた仕様で対応しきれないケースがよくあるなと考えさせられます (日本語の通販サイトを外国人が使うことも多々ありますからね…)。