最近読んだ本で立て続けに、縦書きと横書きのどちらが読むのに適しているかに関する話題が出てきました。
いずれの本も、精読したい場合には縦書きの方が向いているという結論で、興味深かったのでメモしておきます。
1 冊目。『文章添削の教科書』
「タテ書きのすすめ」という章にて。
添削をするときには、タテ書きが向いています。
添削では見通しが大切です。今、見ている文章の先まで、できるだけ広く視野に入れておきたいのです。先を予測することで、部分ごとに文章が直せるのです。(25 ページ)
と筆者は述べています。
この意見の裏付けとして、熊谷高幸著『タテ書きはことばの景色をつくる―タテヨコふたつの日本語がなぜ必要か?』の内容を挙げています。人間の視野のかたちは左右に長い楕円形をしているので、タテ書きでは6行が視野に入る一方、横書きでは3行しか視野に入らないのだとか。
さらに、視点の移動回数も、横書きで 1 行読むときより、縦書きで 1 行読むときの方が少なくなることも利点として挙げています。
2 冊目。「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
「縦書きと横書き、どちらが読みやすい?」というコラムにて。
本書では、まず『臨床眼科』(60 巻 7 号/2006 年 7 月/医学書院) の記事「縦書き・横書き文章における読書時の眼球運動の比較」を挙げています。この記事によると、視線移動の速度は横書きの方が速く、じっと見る回数は縦書きの方が多かったそうです。
また、『本がどんどん読める本 記憶が脳に定着する速習法! (講談社+α文庫)』や『
本の中身が頭に入ってこない人のための読書のルール (中経の文庫) 』の著者、園善博さんから、人間は目が左右についていて、しかも細長い (横に長い) 形をしているため、「生理的にも横に読む方が目を動かしやすい」と教えていただいています。
そして、以下のように結論付けています。
眼の動きから考えると、「精読してほしいとき」は縦書き、「気軽に読んでほしいとき」は横書きが適しているといえそうです。(83 ページ)