もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

読書: 『雑誌の人格』

今回紹介するのは、能町みね子さんの 『雑誌の人格』。

いろいろな雑誌の読者像を想像して1人の人格として描き出そうと試みた本です。

各誌が想定している読者を、紙面の企画や、よく使われている言葉に着目してプロファイリングしているのがとても面白いのです。

 

読者をプロファイリングする作業が楽しい!というのは、文筆業やマーケティング業の人にはとても共感できるのではないでしょうか。

我々が文章を書くときには、これは管理職向けのプレゼンだから…、30 代の流行りもの好き男性への販促資料だから...、技術に詳しくない人向けのマニュアルだから…、と読者像を頭に置きながら、どんな文体が良いか、どんな言葉を使うべきかを常に考える必要があるわけですから。逆に文章を読むとき、私は、なるほどこれはこんな読者を想定した言葉のチョイスなのかな? 自分が似たようなジャンルの文章を書くときに参考にできるかな? なんて想像してしまいます (職業病みたいなものですね)。

 

取り上げられている雑誌は女性誌が半数以上ですが、どの雑誌にもそれぞれ異なる特徴的読者像が作り上げられていて、女性誌の幅広さを感じました…。

他にも文芸誌、カメラ雑誌のほか、『SPA!』なんかも分析の対象に。続刊の『雑誌の人格 2冊目』、『雑誌の人格 3冊目』ではトラック誌や旅行誌も登場して、さらにバラエティ豊かです。

 

いろいろな読者像のカタログとして、手元に置いておきたい 1 冊です。