翻訳をしているときに、いかに訳すべきかよく悩む表現があります。
その一つが、ウェブサイトやスライドのタイトル/見出しで使われている「Ready to ~?」というフレーズ。「~する準備ができていますか?」と訳されていることが多いです。
普通の文章の一部として使われているぶんには「Ready to ~」が「~する準備ができている」で問題ないことも多いのですが、何らかのタイトルや見出しに使われている場合、しっくりこないことがよくあります。
ためしに Google 検索で「intitle:する準備はできていますか?」と検索してみると、「~する準備はできていますか?」というタイトルのページは海外企業のものがほとんどです。
日本語ネイティブはタイトルにこういう表現をほとんど使わないのですよね…。
※ intitle: というのは、検索対象をページのタイトルに絞るためのキーワードです。
検索キーワードに関連の強いページを探したり (キーワードがページのタイトルに含まれていれば、当然、そのページはそのキーワードについて詳しく取り上げたページであるはず)、タイトルで使われがちなフレーズを調べたりするときに便利です。
どうすれば「Ready to ~?」を日本語として違和感なく訳せるのかについて、いくつか案を考えてみました。
Ready to ~?の用法をチェック
そもそも Ready to ~ ?はどのような場合に使われるフレーズなのでしょうか?
先ほどのように Google 検索で intitle を使って「Ready to ~?」がタイトルに使われているページを調べてみようかと思ったのですが、「intitle:Ready to」だけだと音楽のタイトルだとか、日本語中心のページだとか、検索結果にノイズがたくさん含まれてしまいまいうまくいきません。
「~する準備はできていますか?」という表現は英語を日本語に訳したものがほとんどであろうと考えると、「"する準備はできていますか?"」を検索して出てきた日本語のページの用法を分類すればいいでしょう。
検索した結果は、おおむね以下のように分類できるかと思います。
- ガイド/チュートリアルのタイトル・見出し
- プロモーション/マーケティングのタイトル・見出し
- CTA (Call To Action) の見出し・ラベル
用法別、訳のアイデア
さて、上記で分類した文書はいずれも、準備ができているかどうかを Yes or No で聞いているのではありません。「Ready to~?」は行動を促す・これから始まる内容を示す導入句として使われています。
ガイド/チュートリアル
製品やサービスについて説明し、具体的な手順やヒントを伝える資料のタイトルや見出しとして Ready to ~? が使われます。文書の内容によりますが、次のように訳すと自然になります。
- ~してみよう/しましょう/~しませんか?/~する方法
Ready to get started?
→ さあ、始めよう
Ready to learn English?
→ 英語を学びませんか?
Ready to brush up on your skills?
→ スキルを磨く方法
プロモーション/マーケティング
ユーザーに行動を促す心理的な後押しとなる文章のタイトル・見出しです。ガイド/チュートリアルに似ているところもありますが、「変革する」「実現する」「改善する」「可能性を広げる」など抽象性の高い、価値を訴求する表現とセットで使われる傾向があります。
「~しよう」系の訳でもよいですが、文章の意図を汲んで、より強く行動を促す表現にしてもよいかと思います。以下は表現の一例です。他にもいろいろな表現が考えられますので、良いものがあればぜひシェアしてください。
- 〜の準備は万全
- 今こそ〜
- 〜するなら今
Ready to transform your workflow?
→ ワークフローを変えるなら今
CTA
CTA(Call To Action)は日本語で「行動喚起」を意味し、ユーザーになんらかのアクションを促す要素 (ボタンやリンク) のことです。このテキストを書いたライターは、ボタンやリンクを押してほしいと期待しています。ボタンやリンクのテキストや、それらが含まれるセクションの見出しなどに Ready to ~? が使われている場合、次のように訳すと自然になります。
- ~する
Ready to download?
→ ダウンロードする
Ready to get started?
→ 今すぐ始める
CTAの場合、"Ready to Download?" というテキストの隣に "Download" というボタンが配置されているケースもよくあります。その場合、それぞれ "ダウンロードする"+"ダウンロード" の組み合わせだとくどいので、"今すぐダウンロード"+"ダウンロード" や "最新版を入手"+"ダウンロード" のようにちょっと工夫した方が自然になります。




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