もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

ハズさないビジネス書の選び方

私はビジネス書を比較的よく読む方です。

先日『ビジネス本作家の値打ち』という、複数のビジネス書を出版している作家を取り上げて各著作を数行で紹介し、読む価値を100点満点で評価する本を見かけて読んだのですが、この本が全然ピンときませんでした。

どうしてかなぁ、と思ったので、個人的なビジネス書の選び方を振り返ってみました。

ビジネス書とは

そもそも、ビジネス書とはどのような本を指すのでしょう。

前述の『ビジネス本作家の値打ち』では、経営者の伝記、金融リテラシー、手帳術、メモ術、勉強法、読書術、会話術、営業テクニック、自己啓発、経営手法などの本が紹介されていました。書店のビジネス書コーナーも、たいてい同じようなラインナップです (特定の仕事に特化した専門的な本は、その専門コーナーに配置されてしまうので、ビジネス書には入らないのでしょう)。

というわけで、ビジネス書とは一般に、社会人を対象として、内容が専門的になりすぎず、仕事全般に役立ちそうな本の総称と言えます。かなり幅広い内容の本がビジネス書に該当します。

ビジネス書を読むモチベーション

ビジネス書を読もうかな、と思うのはどういう状況でしょうか。

ベストセラーのビジネス書を本屋で見かけたからとか、知り合いからオススメされたからでしょうか。人によっていろいろですね。

私が読もう!と思うタイミングは、仕事でなんらかの悩みを抱えているときです。なんとなーく仕事がうまくいかないなとか、スキルアップしたいなとか、昇格したいなとか、そんなレベルの悩みのこともあります。

抱えている課題を明確にする

ビジネス書がたくさんあって、どれを選べばよいかわからないかもしれません。

選書の際に大切なのは、自分が抱えている課題や問題意識をできる限り明確にすることです。どんなビジネス書でも読めば役立つでしょうが、問題があって、それにばっちり答えてくれる本であれば、漫然と選んだ本よりも確実に満足度が高いでしょう。

例えば、「仕事がうまくいかない」という悩みも、以下のように具体化すると、読むべき本がぐっと絞られます。

  • 報連相ができていないと叱られる
  • 事務処理のミスが多いので減らしたい
  • 顧客からクレームが入ったが、どう対応すればいいのかわからない
  • 伝わりやすいプレゼン資料の作り方が知りたい
  • 催事のアイデアが欲しい
  • 接客時の雑談が苦手

うまく悩みを言語化できない場合も、実際に書店や図書館のビジネス書コーナーにいって本のタイトルを眺めると、いろいろな人の仕事上の悩みがわかって、自分の悩みを明らかにする助けになります。

類似の本を見比べる

課題を明確にすると、読むべき本はある程度絞れますが、1 冊に絞れることは稀です。だいたい、似たようなタイトル/内容の本が何冊か存在します。

そのときチェックするポイントは、前書きと目次です。どんな内容が載っているのかだけでなく、どういう方針 (できるだけ網羅的に書いているとか、短時間で読めるように要点に絞っているとか、実例や図表を豊富に載せているとか) で書かれているのかを把握して、自分のニーズに合ったものを選びます。

著者でビジネス書を選ぶべきか?

冒頭で挙げた『ビジネス本作家の値打ち』に戻ります。この本は、複数のビジネス本を出版している作家それぞれについて、どんな内容の本を書いているのか、各著書の価値はどの程度かを独断と偏見で評価した本です。

この本を読むと、ビジネス本作家には格付けがあって、格付けの高い人の本の方が読む価値があるとか、高得点の本をまず読んだ方がよさそうだとか、そんな気持ちになってしまいそうになります。

しかし、ビジネス書が持つ価値は読者によって変わります。著名な作家の本よりも、ベストセラーよりも、自分が抱えている問題を解決してくれる本の方が読者にとって高い価値を持ちます。なので、話題の本だから、有名な人の本だからといった理由で特定のビジネス書を優先して読まなくてもよいのです。

ビジネス書は粗製乱造か?ビジネス書選びは難しいのか?

ビジネス書談義をしていると、「同じような内容の本ばかり短期間で何冊も出版されている」、「この本を読んでも新しい発見がなかった」、「アタリの本が少ない」、と愚痴ばかりになり、やがては粗製乱造だーなんて話になります。

よく本を読む人がそんなことを言っているせいか (?)、あまり本を読まない人は「えっ、ビジネス書選びって難しそう…」なんてビビってしまったり、ハズレを引きたくがないために無難にベストセラーを選んだり、という行動をとりがちです。

しかし、ビジネス書をあまり読んでいない人にとっては、ハズレを引く可能性は低いと言えます。例えば、「この本を読んでも新しい発見がなかった」というのは、似たようなビジネス書を以前に読んだからなので、類似本を読んだことのない人にとっては、新しい発見ばかりであることは間違いありません。自分が気になった本を選べばよいのです。

「この本を読んでも新しい発見がなかった」と言っている人は、以前に読んだ本を覚えていなくて似たような本を選んでしまったか、新規性を見付けるのが下手な人と言えるでしょう。往々にして、「問題解決のためにビジネス書を読む」ではなく「ビジネス書を読むためにビジネス書を読む」スタイルの人がこうなりがちです。