もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

ホームから離れた場所で仕事をするメリットとは? (やっぱりワーケーションが気になる)

先日は、家族がいるとワーケーションは利用しづらいという記事を書きました (こちら: 理想のワーケーションにはまだまだ現実が追い付いていない - もはある日記)。というわけで、ワーケーションに対するモチベーションは下がっているのですが、引き続きワーケーションに関する本や記事を読んでいます。

 

今回読んでよかったのはこちらの本。

前回紹介した『ポスト・コロナ時代 どこに住み、どう働くか』、Discover Japan2021年3月号「ワーケーションが生き方を変える?地域を変える?」』は、いかにワーケーションをエンジョイするかを労働者側の視点から考える本でした。

一方、『ワーケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」』は、主にワーケーション制度を制定する企業や、ワーケーションを誘致したい自治体の視点で、ワーケーションの変遷、メリット、課題などを検討する内容となっています。

 

セキュリティや社員同士のコミュニケーションの課題など、興味深い内容はいろいろとありますが、経営陣以外には直接役立つ内容ではないので今回は割愛します。

 

個人が本書から得られる教訓は、普段生活/仕事しているエリアから離れるほど、新しいアイデアが生まれる可能性が高まるということです。

それが繰り返し主張されているので、いくつか引用してみましょう。

独立研究者の山口周氏や早稲田大学大学院教授の入山章栄氏をはじめとする多くの方々が「個人の発想や創造性は、その人の移動距離に比例する」と述べています。創造性と移動距離に相関性があるのは、移動距離を広げて新しい場所に自分の身を置くことが、新しい視点をもたらしてくれるからだと考えられます。 (Kindle 版 位置34)

 人間は環境に支配される生き物だ。移動した距離に比例して、景色が変わる。人が変わる。食べ物が変わる。話す言葉が変わる。気温が変わる。文化や風習が変わる。常識が変わる。遠くに行けば行くほど全てが大きく変わるのだ。

 そして元いた場所に戻ってくると、自分の今立っている場所では常識だから絶対に変えてはいけないと信じて疑わないでいたことが、意外と簡単に変えても大して問題のないことだと思えたりする。

 そんな変化を沢山経験しているうちに、脳みそが刺激され活発になっていくから、自然とアイデアがわいてくるのだろう。 (Kindle 版 位置1199。

アイデアの量は移動した距離に比例する。 | OWNDAYSの社長のブログからの引用箇所)

辺境エリアは都心部と違って人口密度の低さ、不便さなどがあり、人々のニーズや問題を浮かび上がらせ、新たなビジネスやソリューションが生まれる可能性が高くなることも挙げられます。 (Kindle 版 位置1551)

企業の社長が軽井沢に別荘を持つ理由の 1 つに、ネットワーク効果への期待があると聞いたことがあります。ある場所に集まっている人材がよい人たちであれば、その人たちに会うためによい人材がさらに集まっていく正のネットワーク効果が生まれるのです。 (Kindle 版  位置1565)

日本の場合、特に大企業にはバックグラウンドの似通った人材が集まる傾向があります。ほとんどの社員は日本のみで教育を受け、受験戦争システムの中で培養された人材であり、出身大学も大企業になればなるほど、似たり寄ったりになります。その一方で、イノベーションを生み出すためには、様々な視点を持つ多様な人材との交流が重要です。 (Kindle 版 位置1570)

 

普段いる場所から離れると、否が応でも、離れた先の良いところや悪いところを発見できるはずです。良いところを見つければ普段いる場所の改善に、悪いところは離れた先での新ビジネスにつながります。

本書はワーケーションが主題なので特に物理的な移動の例が多いですが、ワーケーションが難しい場合は、普段いる会社や業界を離れてみる (例: 他社や異業種の社員も参加する勉強会に申し込む) のも新しいアイデアを生み出すのによいかもしれませんね。