もはある日記

岡山県の西端で、英日翻訳をしています。ここに「も」ステキなもの「は」いっぱい「ある」よ!

理想のワーケーションにはまだまだ現実が追い付いていない

今週のお題は「最近おもしろかった本」。

 

休業中で時間が余っているので、毎日もりもり本を読んでます。

 

中でも面白かった…というか、他の本をいろいろ読むきっかけとなったのがこの本です。

2021 年 2 月刊。コロナ前~コロナ下~コロナ後で、住み方 (住居の広さ、機能、立地) や働き方 (オフィス、リモート、ワーケーション) がどのように変わっていくのかをデータを基に確認、予想しています。

本書の予想では、リモートワークの普及に合わせて、仕事用のスペースのある広い家への住み替えが進むだろうということでした。しかし、現時点ではずいぶんとコロナ前の生活に戻りつつあり、今後予想通りにいくかどうかは難しいところかもしれません

(とはいえ、年収800万円以上のITエンジニア、95%以上が「リモート勤務」と回答 転職サービスFindy調べ - ITmedia NEWS というニュースもあるので、業界によってはリモート勤務が大きく進展しているのかも)。

 

本書で取り上げられている暮らし方・働き方は、都心を中心としたもののため、地方在住者としてはとりわけ興味をそそられるものではありません。気になったのは、繰り返し言及されていたワーケーションについてです。

 

ワーケーションとは、Work (仕事) と Vacation (休暇) を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークするという働き方のことで、国を挙げて普及を目指しています。

働く場所に縛られないフリーランスは、ワーケーションしやすい立場です。私はときどきカフェやコワーキングスペースで作業したり、遠方で開催される勉強会のついでに観光をしたりはしてきましたが、家の外で働くときはワーケーションやリモートワーク向けに整えられた空間で仕事ができていたわけではないし、家族でワーケーションしたこともないので、今後もっとワーケーションしやすく進展していくのか?に関心があります。

 

具体的なワーケーションの過ごし方の例としては、『Discover Japan2021年3月号「ワーケーションが生き方を変える?地域を変える?」』などで特集が組まれています。

紹介されている設備の整ったホテルやコワーキングスペースの情報にワクワクしますし、ワーケーション先で楽しめるエンターテインメントやご当地グルメにも夢が広がります。

 

が、しかし。

 

夢のようなワーケーションプランに胸が高まっても、あるとき気持ちがスッと冷めてしまいます。だって、家族はどこにいるの?

 

この雑誌の他にも Web サイトで紹介されているワーケーション事例の多くは、おひとり様ワーケーションのモデルプランなんですよ。独身だったらいいかもしれないけど、結婚していて、子どもがいて、あるいは親の介護をしていて…という人には到底参考になりません。家族をほっぽり出して一人でワーケーション…なんて、そうそういけないです。

 

家族が有意義に過ごしている間に自分は仕事を進められれば理想ですね。子ども連れのワーケーションの方法で興味深かったのが『親子ワーケーションのススメ: 好きなときに、好きな場所で暮らす生き方』。

本書は、北海道やハワイで子供連れの長期ワーケーションをした記録です。長期で、海外でワーケーションする点はあまり真似できないと思いますが、ワーケーション中の子どもの過ごし方 (現地の学校に行く、体験プログラムに参加する、Skype で家庭教師の指導を受ける) なんかは参考になるのではないでしょうか。

Google で「親子 ワーケーション」などで検索すると、親の仕事中に子どもが参加できるプログラムをいろいろと見付けることができます。とはいえ、まだまだ件数は少なく、開催期間が長期休暇中に限定されていたりと、親子でのワーケーション先や期間の選択肢は限られているのが現状です (こういうところにビジネスチャンスがあるのかも)。

 

ワーケーション中の家族の過ごし方も問題でしたが、スケジュール的にワーケーションに家族を帯同するのが難しい、というのも問題です。

ワーケーションがもてはやされている一因として、旅行需要の分散、休暇の分散取得への期待があります。しかし、いくら環境や制度が整備されても、平時は配偶者の仕事や子どもの学校といったものが障害となって、家族を伴うと長期休暇シーズンしかワーケーションできないのが現状でしょう。子どもについては、金曜日はリモート授業日にするとか、リモート授業週を年に 1 回設ける、なんてしてもらえると、ワーケーション実現がぐっと近くなる気がします。